映像概論現代映像概論 ―今から、源流へ遡る2年間
2年後期第51回 自主制作の企画書(3)提出と講評

企画書を、人に渡せる形にする

自主制作の企画書を提出し、一人ずつ講評しました。2年前期から作ってきた設計書を、人に渡せる一冊にまとめています。

この回で考えたこと

1. 企画書の構成

芯(誰に、何を、なぜ)、構成とテンションカーブ、コンテの山場、カラースクリプト、素材リストと仕上げの方針。この順番で並べると、読む人が迷いません。

2. 抽象から具体へ

企画書は、はしごを上から下へ降ろす順番で書きます。抽象から始めて、最後はパラメータまで。読む人が、自分の作業まで見えるようにします。

3. 講評は石の波紋

企画書を人に見せるのは、最初に石を投げることです。返ってきた意見は波紋です。全部を取り入れる必要はありません。どれを取り入れるかを、自分で選んでください。

権利の基礎チェック

企画書を人に渡す前に、使う素材の権利を確かめておきます。作品が完成してから「この音楽は使えない」と分かると、作り直しになります。プロの現場では、これは企画の段階で必ず確認することです。

素材確認すること
音楽市販の曲は、作曲者や演奏者に権利があります。授業内の上映と、ネットでの公開では扱いが変わります。フリー素材を使うときは、利用規約(クレジット表記、商用利用、改変の可否)を読む
映像・写真・イラスト人の作品をそのまま使わない。参考にするのは構図や考え方までで、素材そのものを切り貼りしない
フォントフォントにもライセンスがあります。無料のフォントでも、商用利用や動画での使用に条件があることがある
人物・ロゴ・キャラクター実在の人を撮るときは本人の許可を取る。企業のロゴや既存のキャラクターは、無断で使わない
生成AI使ったサービスの規約で、作ったものをどこまで使えるかを確認する。既存の作品に似すぎていないかを自分の目で確かめる(第56回)
自分の作品の権利授業で作った作品をポートフォリオやSNSに載せてよいか、学校の決まりを確認する。チームで作った作品は、全員の了解を取る

オマージュと盗用の違い 第28回の『ラ・ラ・ランド』は、『シェルブールの雨傘』の色づかいや形式を引き継ぎながら、自分の物語と自分の街で作り直していました。考え方や様式を受け継ぐのがオマージュで、他人の素材や表現をそのまま持ってくるのが盗用です。迷ったら、「何を受け継ぎ、何を自分で作ったか」を言葉で説明できるかを確かめてください。

この表は授業での基本の確認項目で、法律の助言ではありません。具体的な判断が必要なときは、学校や専門家に確認してください。

授業の進め方(90分×2コマ)

時間内容
1コマ目 0:00〜0:10進め方と講評の観点を伝える
0:10〜1:30企画書の発表と講評
休憩—
2コマ目 0:00〜1:00企画書の発表と講評の続き
1:00〜1:15全体講評
1:15〜1:30次の目標を書く

1人5分(発表3分+質疑2分)で約30人分。人数が少ない場合は、他の人の作品や分析シートを分析シートで読み合う時間に充てます。

授業で投げた問い

  1. 講評で、一番刺さった意見は何でしたか。
  2. その意見を取り入れると、企画の芯はぶれますか。

参考書籍

  • 権利

    18歳の著作権入門

    福井健策/ちくまプリマー新書

    作る側も使う側も知っておくべき著作権の基本を、若い読者向けに書いた入門書です。

    Kindleで探す電子版は要確認

参考リンク