映像概論現代映像概論 ―今から、源流へ遡る2年間
2年後期第49回 自主制作の企画書(1)

CGの恐竜と、本物の恐竜を使い分ける 『ジュラシック・パーク』

自主制作の企画書の回です。1993年の『ジュラシック・パーク』は、僕がCGの世界に入るきっかけになった作品の一つです。この作品を観て「これからは3DCGの時代が来る」と思った人は、僕だけではないはずです。

作品データ

公開1993年
監督スティーヴン・スピルバーグ
CGILM(インダストリアル・ライト&マジック)
実物の恐竜スタン・ウィンストンのチームによる実物大の作り物
CGの恐竜デニス・ミューレン率いるILMが、7種類の恐竜を52ショットのCGで作った
変更された計画遠景の恐竜は、もともとフィル・ティペットのコマ撮り(ゴーモーション)で撮る予定だった。CGのテストを見て計画が変わり、ティペットのチームはCGの恐竜の動きを監修する側に回った
原作マイケル・クライトンの小説
配信要確認

作品の基本情報は2026年11月に公開情報で確認しました(CGW「The Jurassic Age」、Wikipedia「Dinosaurs in Jurassic Park」)。配信状況は変わるため、授業前に確認してください。

作り手のバックボーン

スティーヴン・スピルバーグ(監督) 映画学校に何度も落ちながら、自分の短編で道を開いた監督です。僕の書籍でも、失敗から学ぶ例として書きました。

ILM 『スター・ウォーズ』のために作られた視覚効果の会社です。この作品でCGの生き物を本格的に映画に持ち込みました。

考察

1. 遠くはCG、近くは本物

全身が走る、群れで動く場面はCG。俳優が触れる、息がかかる距離の場面は作り物。観客の距離によって、使う技術を変えています。第19回の『ゼロ・グラビティ』で話した「境界線は観客がどこを見るかで決まる」の源流です。

2. 技術の選択は企画で決まる

どの場面をCGにするかは、撮影の前に決まっています。自主制作でも、企画書の段階で「何をCGで、何を撮影で、何を手描きで作るか」を決めてください。

3. 「僕は絶滅した」と言った職人

CGのテスト映像を見たティペットは、「僕は絶滅した」と冗談を言ったそうです。でも彼は辞めずに、自分のコマ撮りの知識を、CGの恐竜の動きに注ぎ込みました。そしてこの作品で、アカデミー視覚効果賞を受賞しています。技術が変わっても、動きを見る目は残る。生成AIの時代(第56回)にも、そのまま通じる話です。

4. 僕の原点の一つ

この作品やトイ・ストーリー、タイタニック、FF7を観て、3DCGの時代が来ると思ったのが、僕がこの業界に入るきっかけでした。2年かけて遡って、ようやくそこまで来ました。

授業の進め方(90分×2コマ)

時間内容
1コマ目 0:00〜0:10導入:今回の観点を伝え、「観る前の予想」を書く
0:10〜本編上映(止めない・戻さない・飛ばさない)
休憩構成の区切りで休憩。前半で気づいたことを1行メモ
2コマ目上映の続き
上映後 15分分析シート「たどる面」を個人で記入
15分ペアで「授業で投げた問い」を話し合う
15分解説(この記事の考察)
5分引き出しノートに3つ、降ろす欄を記入

上映時間が長い場合は、ペアの話し合いを短くして解説の時間を確保します。

授業で投げた問い

  1. CGと作り物の恐竜は、見分けられましたか。
  2. 自分の企画で、CGにする部分と、そうでない部分はどこですか。

参照動画

授業で扱った映像と、理解を深めるための映像です。

参考リンク