映像概論現代映像概論 ―今から、源流へ遡る2年間
2年前期第40回 レイヤー構造(1)

CGの世界に、カメラを持ち込む 『アバター』のバーチャルカメラ

今回から3回はレイヤー構造です。2009年の『アバター』は、CGと実写の境界を大きく動かした作品です。1年後期の第19回『ゼロ・グラビティ』の4年前に、この流れは始まっていました。

作品データ

公開2009年
監督・脚本ジェームズ・キャメロン
構想1994年に80ページの構想を書いたが、当時は技術が追いつかず、完成まで15年かかった
VFXWeta Digital(現Weta FX)ほか。最大で約900人が関わった
上映時間162分(第40回と第41回で分けて上映)
技術の特徴CGの世界を実写のように撮るバーチャルカメラ、俳優の演技を記録するパフォーマンスキャプチャ、立体(3D)上映
興行世界興行収入の歴代1位を記録
配信要確認(Disney+の可能性あり)

作品の基本情報は2026年11月に公開情報で確認しました(Wikipedia「Avatar (2009 film)」、Animation Magazine)。配信状況は変わるため、授業前に確認してください。

作り手のバックボーン

ジェームズ・キャメロン(監督) 『ターミネーター2』『タイタニック』で、CGの使い方を何度も変えてきた監督です。技術が追いつくまで企画を温め、技術ができてから作る、という作り方をしています。

考察

1. CGの世界にカメラマンの呼吸を入れる

CGのカメラは、数値で動かすとなめらかすぎて機械的になります。監督が手で持って動かすことで、実写のような揺れや迷いが生まれます。CGに「人が撮った感じ」を入れる工夫です。

2. 技術ができるまで待つ

キャメロンは、作りたい映像に技術が追いつくまで企画を待ちました。企画と技術の順番の、一つの答えです。第1回で話した「技術の選択は、作りたいものから逆算される」の極端な例です。

3. 立体上映という体験

この作品は、立体映像で観ることを前提に設計されています。見せ方の前提が変わると、構図の作り方も変わります。

授業の進め方(90分×2コマ)

時間内容
1コマ目 0:00〜0:10導入:作品の背景と、前後半に分ける位置を伝える
0:10〜前半を上映(止めない・戻さない・飛ばさない)
休憩—
2コマ目前半の上映の続き(構成の区切りまで)
上映後 20分分析シート「たどる面」を前半分だけ記入。テンションカーブを途中まで描く
20分解説(前半の考察)
5分後半で何が起きるかを予想して書く

長編のため2回に分けて上映します。分ける位置は構成の区切りで決めます。

授業で投げた問い

  1. CGだと分かっていても本物に見えたのは、なぜだと思いますか。
  2. カメラの動きで、「人が撮っている」と感じた場面はありましたか。

参照動画

授業で扱った映像と、理解を深めるための映像です。

参考リンク