映像概論現代映像概論 ―今から、源流へ遡る2年間
1年後期第29回 ゲームのシネマティクス

遊ぶ時間と、観る時間をつなぐ演技 『The Last of Us』

前期の第3回で、ゲームと映像の違いを「カメラの主導権」で整理しました。今回は、その境界を演技でつないだ作品です。2023年にはドラマ版も作られ、ゲームの物語が映像作品として受け継がれています。

作品データ

発売2013年6月14日(PlayStation 3)
開発ノーティードッグ
ゲームディレクターブルース・ストレイリー
クリエイティブディレクター・脚本ニール・ドラッカマン
演技の作り方ジョエル役のトロイ・ベイカーとエリー役のアシュレイ・ジョンソンが、声と動きの両方を演じた。二人は人物と物語づくりにも参加している
音楽グスターボ・サンタオラヤ
その後2023年にドラマ化
配信ゲームのため配信なし。トレーラーとプレイ映像で扱う

作品の基本情報は2026年11月に公開情報で確認しました(Wikipedia「The Last of Us (video game)」、Wikipedia「Development of The Last of Us」)。配信状況は変わるため、授業前に確認してください。

作り手のバックボーン

ノーティードッグ 『アンチャーテッド』シリーズで、映画のようなゲームを作ってきたスタジオです。ムービーとプレイの境目をなくすことに取り組み続けています。

ニール・ドラッカマン(脚本・ディレクター) ゲームの物語を、登場人物の関係で描くことにこだわった作り手です。開発チームは、同じ年に公開された映画『ゼロ・グラビティ』(第19回)にも、シンプルさと緊張感の点で通じるものを感じていたそうです。のちにドラマ版の制作にも関わっています。

あわせて知りたい作り手

エイミー・ヘニッグ脚本・ディレクター

ノーティードッグで『アンチャーテッド』シリーズの脚本とディレクションを担った作り手です。『The Last of Us』の二人の監督も、彼女の完璧主義と人物へのこだわりを、物語づくりのお手本に挙げています。

考察

1. 演技が、主導権の切り替えを隠す

ムービーシーンの人物と、プレイ中の人物が同じ俳優の演技でできているので、主導権が切り替わっても人物がぶれません。第3回の『Ghost of Tsushima』はシステムで映画の瞬間を作りましたが、この作品は演技でつないでいます。

2. ゲームの物語が、ドラマになる

10年後にドラマ化されたのは、物語と人物がそれだけ強かったからです。ゲームも、長く続くIPの入口になります。

3. CGに演技を入れる

第16回の『シン・ゴジラ』で、CGの怪獣に人間の演技を入れた話をしました。ここでは、CGの人間に俳優の演技を入れています。CGを作る人は、演技を受け取る側でもあります。

授業の進め方(90分×2コマ)

時間内容
1コマ目 0:00〜0:10導入:「カメラを持つのは誰か」という観点を伝える
0:10〜0:25トレーラー・ムービーシーンを上映
0:25〜1:30プレイ映像を上映(「プレイ画面」の表の順に)
休憩—
2コマ目 0:00〜0:20比較シート:ムービーとプレイで、時間とカメラの主導権がどう違うかを書く
0:20〜0:50ペアで比較、数名が発表
0:50〜1:20解説(この記事の考察)
1:20〜1:30引き出しノートに3つ、降ろす欄を記入

プレイ映像は実況や解説の声が入っていないものを選び、使う時間の位置を事前に控えておきます。

授業で投げた問い

  1. ムービーからプレイに切り替わった瞬間に、気づきましたか。
  2. 演技がうまいと思ったキャラクターは、何がうまかったのですか。

参照動画

授業で扱った映像と、理解を深めるための映像です。

プレイ画面

ムービーとプレイの境目を、同じ人物の演技がどうつないでいるかを観ます。物語の冒頭は、プレイヤーが操作しながらも、映画のように演出された場面として有名です。

使う部分目安観るポイント
物語の冒頭約20分プレイヤーが操作している間も、カメラと演出で映画のように見せている部分
序盤の探索と戦闘約20分ムービーで見た人物の演技が、プレイ中の動きにどうつながっているか
公式のプレイデモ約10分発売前に公開された、遊びと演出が混ざった場面

授業では実機でプレイせず、プレイ映像を上映します。実況や解説の声が入っていない映像(「実況なし」「No Commentary」)を選んでください。

参考リンク