映像概論現代映像概論 ―今から、源流へ遡る2年間
1年後期第28回 編集・色・音楽の総合(2)

50年前の傘が、色の源流だった 『ラ・ラ・ランド』と『シェルブールの雨傘』

前回の『ラ・ラ・ランド』を、今度は源流から読みました。この授業で何度も話している「源流作品」を、もっとも分かりやすく体験できる組み合わせです。

比較

作品特徴
『シェルブールの雨傘』(1964)ジャック・ドゥミ監督。全編のセリフを歌で語るフランスのミュージカル。鮮やかな色の壁や衣装が特徴
『ラ・ラ・ランド』(2016)ドゥミ作品への敬意を込めた原色の色づかいと、夢と現実のすれ違いの物語

作品の基本情報は2026年11月に公開情報で確認しました(Wikipedia英語版「La La Land」、同「The Umbrellas of Cherbourg」、カンヌ国際映画祭公式、Little White Lies)。配信状況は変わるため、授業前に確認してください。

作り手のバックボーン

ジャック・ドゥミ 『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』で、色と音楽を一体にしたミュージカルを作った監督です。チャゼルはドゥミ作品への敬意を語っています。

考察

1. 引き継いだのは「色と歌の一体感」

原色の壁や衣装、歌で気持ちを語る演出。これが『ラ・ラ・ランド』の土台になっています。

2. 変えたのは「現実の街」

ドゥミの作品は、フランスの港町を舞台にしました。『ラ・ラ・ランド』は、ロサンゼルスという現実の大都市を舞台にしています。源流の形式を、今の街に置き換えています。

3. 源流は、古いほど自由に引用できる

50年前の作品は、今の観客にとってほとんど新しいものです。古い作品を知っていることは、作り手にとって大きな武器になります。2年間で90年代まで遡るのは、そのためでもあります。

授業の進め方(90分×2コマ)

時間内容
1コマ目 0:00〜0:10導入:今回の観点を伝え、「観る前の予想」を書く
0:10〜本編上映(止めない・戻さない・飛ばさない)
休憩構成の区切りで休憩。前半で気づいたことを1行メモ
2コマ目上映の続き
上映後 15分分析シート「たどる面」を個人で記入
15分ペアで「授業で投げた問い」を話し合う
15分解説(この記事の考察)
5分引き出しノートに3つ、降ろす欄を記入

上映時間が長い場合は、ペアの話し合いを短くして解説の時間を確保します。

授業で投げた問い

  1. 二つの作品で、一番似ていると思った点は何ですか。
  2. 自分が探した「元ネタ」は、元の作品から何を変えていましたか。

参照動画

授業で扱った映像と、理解を深めるための映像です。

参考リンク