映像概論現代映像概論 ―今から、源流へ遡る2年間
1年後期第22回 タイトル・キネティックタイポ(2)

文字だけで、時代を連れてくる 『ストレンジャー・シングス』のタイトル

今回はNetflixのドラマのオープニングを扱いました。映画ではなくドラマのタイトルですが、毎話見ることになるオープニングは、作品の顔として何度も観客の記憶に刻まれます。

作品データ

配信開始2016年(Netflix)
制作ダファー兄弟
オープニングの特徴赤く光る書体(ITC Benguiat)が、ゆっくり組み上がって題名になる
タイトルデザインImaginary Forces(クリエイティブディレクター:ミシェル・ダハティ)。2017年エミー賞のメインタイトルデザイン部門を受賞
音楽シンセサイザーの曲
配信Netflix(オリジナル作品)

作品の基本情報は2026年11月に公開情報で確認しました(Art of the Title、ArtCenter)。配信状況は変わるため、授業前に確認してください。

作り手のバックボーン

ダファー兄弟(制作) 1980年代のスティーヴン・キングの小説や映画に強く影響を受けた兄弟です。オープニングを作ったImaginary Forcesには、自分たちが好きだった本の表紙が送られ、その多くがキングの小説だったそうです。

Imaginary Forces(タイトルデザイン) 第47回で紹介したカイル・クーパーが共同で立ち上げたスタジオです。80年代のキングの本の表紙と、『エイリアン』(1979)のタイトルを参考に、文字だけで時代と恐怖を作りました。

あわせて知りたい作り手

ミシェル・ダハティタイトルデザイン

Imaginary Forcesのクリエイティブディレクターとして、このオープニングを率いた人です。文字の動きにわざと小さな不完全さを残すことで、80年代の手作業の空気を出しました。2017年のエミー賞を受賞しています。

考察

1. 書体が時代を運ぶ

オープニングの書体は、80年代の小説の表紙で使われていた雰囲気のものです。その時代を知らない観客にも、「昔の何か」が伝わります。書体は、時代の記憶をまとっています。

2. 動きは少ないほど強い

文字はゆっくり動くだけです。派手に動かさないことで、一文字ずつの形が観客の記憶に残ります。第21回の『シン・ゴジラ』とは逆で、読ませる文字です。

3. オープニングは毎回の儀式

ドラマのオープニングは毎話流れます。同じ映像を何度も観ることで、観客は作品の世界に入る準備をします。長く続く作品には、こういう入口があります。

授業の進め方(90分×2コマ)

時間内容
1コマ目 0:00〜0:10導入:今回の観点を伝え、「観る前の予想」を書く
0:10〜本編上映(止めない・戻さない・飛ばさない)
休憩構成の区切りで休憩。前半で気づいたことを1行メモ
2コマ目上映の続き
上映後 15分分析シート「たどる面」を個人で記入
15分ペアで「授業で投げた問い」を話し合う
15分解説(この記事の考察)
5分引き出しノートに3つ、降ろす欄を記入

上映時間が長い場合は、ペアの話し合いを短くして解説の時間を確保します。

授業で投げた問い

  1. 文字の動きだけで、どんな感情になりましたか。
  2. この書体を今風のゴシック体に変えたら、何が失われますか。

参照動画

授業で扱った映像と、理解を深めるための映像です。

参考リンク