映像概論現代映像概論 ―今から、源流へ遡る2年間
1年後期第21回 タイトル・キネティックタイポ(1)

文字が、情報の速さを演出する 『シン・ゴジラ』のテロップ

第2回で「テロップは情報デザイン」だと話しました。今回は、その文字が演出になる例です。同じ『シン・ゴジラ』を、今度は文字だけに注目して観ました。

作品データ

作品『シン・ゴジラ』(2016)
文字の特徴明朝体の大量のテロップ。人名、役職、組織名、場所が次々に出る
源流庵野秀明の『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)の明朝体のタイトル
配信要確認

作品の基本情報は公開情報をもとにしています。配信状況は変わるため、授業前に確認してください。

作り手のバックボーン

庵野秀明 エヴァンゲリオンで、極太の明朝体を画面いっぱいに使う演出を作った監督です。この文字の使い方は、その後のアニメや映像に大きな影響を与えました。2年後期の第53回で、その源流まで遡ります。

考察

1. 読み切れない量が、速さを伝える

テロップを全部読もうとすると、画面に置いていかれます。それが、会議室で情報に追われる人間の感覚と重なります。読ませないことも、演出です。

2. 書体が世界観を作る

明朝体は、硬く、公的で、緊張感のある書体です。役所の文書のような書体を使うことで、この映画が「行政の映画」であることを文字でも伝えています。

3. 第2回のYouTubeと比べる

YouTubeのテロップは、確実に読ませるためにあります。『シン・ゴジラ』のテロップは、読み切れないことに意味があります。同じ文字でも、設計の目的が正反対です。

授業の進め方(90分×2コマ)

時間内容
1コマ目 0:00〜0:10前回の振り返り:前回の分析シートを読み返す
0:10〜0:50主要場面を再上映(観点を絞って観る)
0:50〜1:30演習(個人)
休憩—
2コマ目 0:00〜0:30演習の続き、ペアで見せ合う
0:30〜0:50数名が発表
0:50〜1:20解説(この記事の考察)
1:20〜1:30引き出しノートに3つ、降ろす欄を記入

作品の本編は前回すべて上映しています。今回は場面を絞って再上映し、手を動かす時間を中心にします。

授業で投げた問い

  1. 読み切れなかったテロップは、何を感じさせましたか。
  2. 同じ場面をゴシック体にしたら、印象はどう変わりますか。

参照動画

授業で扱った映像と、理解を深めるための映像です。

参考リンク