映像概論現代映像概論 ―今から、源流へ遡る2年間
1年後期第17回 VFX・合成(2)

本物を撮って、足りないところだけCGで埋める 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

第16回の『シン・ゴジラ』が「CGの怪獣を現実に置く」映画だとすると、今回は逆で、「現実を撮って、CGで仕上げる」映画です。同じVFXでも、出発点がまったく違います。

作品データ

公開2015年
監督ジョージ・ミラー
撮影ジョン・シール
編集マーガレット・シクセル
撮影地ナミビアの砂漠
評価アカデミー賞6部門受賞(編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、音響編集賞、録音賞)
白黒版『ブラック&クローム』エディション
配信要確認

作品の基本情報は2026年11月に公開情報で確認しました(Screen Australia、QAGOMA(Black & Chrome版の上映))。配信状況は変わるため、授業前に確認してください。

作り手のバックボーン

ジョージ・ミラー(監督) 1979年の第1作『マッドマックス』からシリーズを作ってきた監督です。30年以上前に自分が作った世界を、本人がもう一度作り直しています。

マーガレット・シクセル(編集) ジョージ・ミラーの妻で、それまでアクション映画の編集をしたことがありませんでした。この作品でアカデミー編集賞を受賞しています。膨大な素材から、速いのに迷わない編集を組み上げました。

考察

1. 本物を撮るから、CGが嘘にならない

車も砂も爆発も、まず本物を撮っています。CGは空や背景、危険すぎる部分を補う役割です。土台が本物だから、足したCGも本物に見えます。

2. 画面の中心に見せたいものを置く

カットがものすごく速いのに、観ていて迷いません。見せたいものが毎回ほぼ画面の中心に置かれているので、目が探さなくて済むからです。速い編集と中心の構図はセットで設計されています。

3. 白黒版でも成立する画

この作品には白黒版があります。第3回の黒澤モード、第8回のジェディ・プライム、第10回の『ゴジラ-1.0/C』と同じ系譜です。色を抜いても成立するのは、光と形がしっかり設計されているからです。

授業の進め方(90分×2コマ)

時間内容
1コマ目 0:00〜0:10導入:今回の観点を伝え、「観る前の予想」を書く
0:10〜本編上映(止めない・戻さない・飛ばさない)
休憩構成の区切りで休憩。前半で気づいたことを1行メモ
2コマ目上映の続き
上映後 15分分析シート「たどる面」を個人で記入
15分ペアで「授業で投げた問い」を話し合う
15分解説(この記事の考察)
5分引き出しノートに3つ、降ろす欄を記入

上映時間が長い場合は、ペアの話し合いを短くして解説の時間を確保します。

授業で投げた問い

  1. 一番速いと感じた場面で、目はどこを見ていましたか。
  2. CGで足したと思う部分を1つ選び、なぜ本物では撮れなかったかを考えてください。

参照動画

授業で扱った映像と、理解を深めるための映像です。

参考リンク