映像概論現代映像概論 ―今から、源流へ遡る2年間
1年後期第16回 VFX・合成(1)

会議室で怪獣映画を撮るということ 『シン・ゴジラ』のVFX

後期からは2010年代に入ります。最初の題材は、前期の第9〜10回で扱った『ゴジラ-1.0』の7年前に作られた『シン・ゴジラ』です。同じゴジラでも、作り手が変わると見せ方がまったく変わります。後期はここから、技法がどう受け継がれ、どう変わってきたかを見ていきます。

作品データ

公開2016年7月29日
総監督・脚本庵野秀明
監督・特技監督樋口真嗣
ゴジラフルCG。動きは狂言師の野村萬斎のモーションキャプチャ
評価第40回日本アカデミー賞 最優秀作品賞
配信要確認(授業前にNetflix・Prime Video・Disney+で確認)

作品の基本情報は2026年11月に公開情報で確認しました(映画.com、映画.comニュース)。配信状況は変わるため、授業前に確認してください。

作り手のバックボーン

庵野秀明(総監督・脚本) 『新世紀エヴァンゲリオン』の監督です。実写の怪獣映画と特撮で育った世代で、その記憶がこの作品の画の作り方に強く出ています。2年後期に、エヴァまで遡ります。

樋口真嗣(監督・特技監督) 『ガメラ 大怪獣空中決戦』など平成ガメラシリーズの特技監督として知られ、ミニチュアと合成の時代から特撮を作ってきた人です。CGの時代に、特撮の感覚を持ち込んでいます。

考察

1. VFXを「現実の側」に置く

この映画の多くの時間は、会議室で人が話している場面です。怪獣が出てくる時間は思ったより短い。だからこそ、ゴジラが現れたときの異物感が際立ちます。VFXをたくさん見せるほど迫力が出る、というのは思い込みです。

2. CGに人間の演技を入れる

ゴジラはCGですが、動きは野村萬斎の身体から作られています。人の身体を通すことで、CGの怪獣に「生き物の重さ」と「様式」が生まれています。CGを作る側の人間として、ここは覚えておいてほしいところです。

3. 前期の『ゴジラ-1.0』と比べる

どちらもゴジラを日本の現実の中に置いていますが、『-1.0』は人間ドラマの感情、『シン・ゴジラ』は組織と情報の速度で描いています。同じIPでも、作り手の判断で作品はここまで変わります。

授業の進め方(90分×2コマ)

時間内容
1コマ目 0:00〜0:10導入:今回の観点を伝え、「観る前の予想」を書く
0:10〜本編上映(止めない・戻さない・飛ばさない)
休憩構成の区切りで休憩。前半で気づいたことを1行メモ
2コマ目上映の続き
上映後 15分分析シート「たどる面」を個人で記入
15分ペアで「授業で投げた問い」を話し合う
15分解説(この記事の考察)
5分引き出しノートに3つ、降ろす欄を記入

上映時間が長い場合は、ペアの話し合いを短くして解説の時間を確保します。

授業で投げた問い

  1. ゴジラが画面に出ていない時間を、どう感じましたか。
  2. CGだと感じた瞬間と、CGだと感じなかった瞬間はどこですか。

参照動画

授業で扱った映像と、理解を深めるための映像です。

参考リンク