映像概論現代映像概論 ―今から、源流へ遡る2年間
1年前期第8回 光と色(後編):色とカラコレ

3つの惑星を色で分ける 『DUNE PART2』のパレット設計

後編では、本編の後半を観たうえで「色」を扱いました。前編で見た赤外線の白黒は、色の設計の中でどう位置づけられているのか。作品全体のパレットから考えます。

作品データ

『デューン 砂の惑星PART2』
日本公開2024年3月15日
上映時間166分(第7回と第8回で分けて上映)
監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ
撮影グリーグ・フレイザー
美術パトリス・ヴェルメット
衣装ジャクリーン・ウェスト
プリビズアリーナの場面でUnreal Engineを使った事前検討
続編『デューン 砂の惑星PART3』2026年12月18日 日米同時公開予定
配信Prime Video:レンタル・購入(見放題対象外)/Netflix:2025年11月頃に配信終了/Disney+:配信なし 2026年6〜10月時点の調査記事より。参考:U-NEXTでは見放題

出典:撮影監督・美術へのインタビュー記事、配信状況の調査記事をもとに要約しています。PART3の公開日は配信状況の調査記事の記載によります。

3つの世界のパレット

世界色の方向伝えていること
アラキス(砂漠の惑星)砂の暖色、強い日差し過酷さ、主人公が生きる現実
ジェディ・プライム(ハルコンネン家)赤外線の白黒異質さ、敵の世界
帝国の宮廷アラキスとは異なる人工的な色権力の中心、遠い世界

「色の方向」と「伝えていること」は授業での観察にもとづく整理です。

作り手のバックボーン

パトリス・ヴェルメット(美術) ヴィルヌーヴ作品を長く支える美術監督で、前作でアカデミー美術賞を受賞しています。フレイザーの赤外線テストの結果を受け取り、ジェディ・プライムの美術設計に反映させました。

ジャクリーン・ウェスト(衣装) 赤外線で狙いどおりの黒に写るよう、ハルコンネン家の衣装の作り方を調整しています。

計画の徹底 フレイザー、ヴィルヌーヴ、ヴェルメットは場面を細部まで事前に計画し、アリーナの場面ではゲームエンジンのUnreal Engineで事前検討も行っています。

考察:比較から何が言えるか

1. 色は場所の記号になる

3つの世界がそれぞれ別のパレットを持つことで、観客は場面が切り替わった瞬間に「どこにいるか」を理解します。色は雰囲気づくりだけでなく、物語の地図の役割を果たしています。

2. カラコレの設計は撮影前に終わっている

赤外線の白黒は後処理ではなく撮影で決まり、美術と衣装もそれに合わせて作られています。仕上げのカラコレは、すでに決まっている設計を整える工程です。色を後から「なんとかする」発想では、この画は作れません。

3. 白黒の系譜:3作品を並べる

第3回の『Ghost of Tsushima』の黒澤モードは「後から変換する白黒」、本作のジェディ・プライムは「撮影で決める白黒」でした。次回扱う『ゴジラ-1.0』にも、モノクロ版の『ゴジラ-1.0/C』があります。白黒をどの段階で決めるかで、画の性格は変わります。

授業の進め方(90分×2コマ)

時間内容
1コマ目 0:00〜0:10前回の振り返り:前半のカーブと予想を読み返す
0:10〜後半を上映
休憩—
2コマ目後半の上映の続き
上映後 20分分析シートを完成させ、前後半を通したテンションカーブを描く
20分ペアでカーブを比べる
20分解説(この記事の考察)
5分引き出しノートに3つ、降ろす欄を記入

授業で投げた問い

  1. 色だけを見て、今どの惑星にいるか分かった場面はどこですか。
  2. アラキスの色を、ジェディ・プライムの白黒と入れ替えたら何が起きますか。
  3. 宿題で抜き出した「主要な3色」は、その場面で何を伝えていましたか。

参照動画

授業で上映した作品の予告編と、色の設計を考えるための映像です。

参考書籍

この記事の背景をさらに深く知るための本です。リンクはAmazonのKindleストア検索結果を開きます。

  • メイキング

    The Art and Soul of Dune: Part Two

    Tanya Lapointe

    美術・衣装・撮影の設計がまとまった公式アートブックです(英語)。

    Kindleで探す電子版は要確認

出典

Wikipediaなどの記述は要約して掲載しています。原文は各リンク先で確認できます。