映像概論現代映像概論 ―今から、源流へ遡る2年間
1年前期第10回 音と音楽(後編):音楽と源流

70年前のテーマ曲が鳴る瞬間 『ゴジラ-1.0』と1954年の『ゴジラ』

後編では「音楽」を扱いました。題材は引き続き『ゴジラ-1.0』です。あわせて、源流である1954年の第1作『ゴジラ』を本編で通して観ました。この授業で初めて、2020年代の作品から一気に70年前まで遡る回です。

作品データ

『ゴジラ』(1954)『ゴジラ-1.0』(2023)
公開1954年11月3日2023年11月3日
監督本多猪四郎山崎貴
音楽伊福部昭佐藤直紀(伊福部昭のテーマも使用)
画白黒カラー(モノクロ版『ゴジラ-1.0/C』もあり)
配信—Netflix:見放題(2026年4月から。モノクロ版『ゴジラ-1.0/C』も同時配信と告知)/Prime Video:見放題とレンタルで情報が分かれるため要確認/Disney+:配信なし 2026年10月時点の調査記事、Netflix Japan公式Xより

出典:Wikipedia英語版「Godzilla Minus One」、公開日に関する報道、配信状況の調査記事をもとに要約しています。『ゴジラ-1.0』は第1作と同じ11月3日に公開されています。

作り手のバックボーン

佐藤直紀(音楽) 山崎貴監督と長く組んできた作曲家で、『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズなども手がけています。本作のスコアは、海外の映画賞でも作曲部門の候補に挙がりました。

伊福部昭(1954年版の音楽) 第1作のテーマ曲を作曲しました。このテーマは、その後のシリーズで繰り返し使われ、「ゴジラの音」として定着しています。

音楽の役割を分解する

役割意味
感情の方向づけ同じ画でも、音楽で怖さにも悲しさにも見える
テンションの制御盛り上げる、止める、引く
記憶の呼び出し聞き覚えのある曲で、別の作品や時代を思い出させる
場面の接着カットをまたいで鳴り続け、場面を一つにまとめる

考察:比較から何が言えるか

1. 新しいスコアと古いテーマの役割分担

新しく書かれたスコアは物語の感情を運び、伊福部昭のテーマは要所でだけ鳴ります。テーマが鳴る場面は限られているからこそ、鳴った瞬間の意味が大きくなります。音楽も「どこで使わないか」で効果が決まります。

2. 音楽は作品の外の記憶を連れてくる

テーマ曲を知っている観客は、その瞬間に70年分のゴジラ映画を思い出します。第6回の『トップガン』で構図が前作の記憶を呼び起こしたように、音楽も源流とつながる装置になります。

3. 白黒の系譜の終着点

モノクロ版『ゴジラ-1.0/C』は、カラーで作った作品を後から白黒にしたものです。第3回の黒澤モード、第8回のジェディ・プライムと並べると、白黒を「後から変換する」か「撮影で決める」かの違いが、1年前期を通して見えてきます。そしてその先には、白黒で撮られた1954年の第1作があります。

1年前期のここまでのまとめ

第1回から第10回で、映像の文法(時間・フレーム・編集・カメラ・構図・光・色・音・音楽)をひととおり扱いました。そのたびに、作品の背後に源流がありました。黒澤明、トニー・スコット、伊福部昭。2年後に90年代までたどり着く前に、すでに源流はそれより古い時代にも広がっています。

授業の進め方(90分×2コマ)

時間内容
1コマ目 0:00〜0:10導入:今回の観点を伝え、「観る前の予想」を書く
0:10〜本編上映(止めない・戻さない・飛ばさない)
休憩構成の区切りで休憩。前半で気づいたことを1行メモ
2コマ目上映の続き
上映後 15分分析シート「たどる面」を個人で記入
15分ペアで「授業で投げた問い」を話し合う
15分解説(この記事の考察)
5分引き出しノートに3つ、降ろす欄を記入

上映時間が長い場合は、ペアの話し合いを短くして解説の時間を確保します。

授業で投げた問い

  1. 伊福部昭のテーマが鳴った場面で、何を感じましたか。その前後で音楽はどう変わりましたか。
  2. 音楽を別の曲に差し替えたら、その場面の意味はどう変わりますか。
  3. 宿題のモノクロ版で、カラー版より強く感じたものと弱く感じたものは何ですか。

参照動画

授業で上映した映像と、源流をたどるための映像です。

参考書籍

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  • 演出全般

    映像の原則 改訂二版

    富野由悠季/キネマ旬報社

    画と音の関係も含め、映像演出の原則を論理的に解説した技術書です。

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出典

Wikipediaなどの記述は要約して掲載しています。原文は各リンク先で確認できます。